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高校生のための「エネルギーと環境」コンペティション2006
Vernacular architecture 入賞作品発表 |
今年は設計部門100点、アイデア部門53点のご応募がありました。
多数のご応募ありがとうございました。
厳正な審査の結果、選出された入賞作品を発表いたします。
○最優秀賞 設計デザイン部門

樹海 〜生命溢れる場所〜/小野田 夏見さん 増田 詠美さん 河島 千昌さん
(静岡県立静岡工業高等学校 2年) |
講評: |
樹海という言葉の持つ感覚は、自然の大きな秘められたたどり着けないものをイメージさせるような響きを感じるが、この作品の良さは、樹海に対して人々がもつ様々なマイナスのイメージを見事に乗り越えたところにあると思われる。樹海は生態学的に貴重な自然であり、命の場所であることを教え、学び、体験する棲 (すみか)を考えたその発想が、まさに今回のテーマであるvernacularの原点である。自然との対話を望むような平面と溶岩パネルを利用した外壁が、建物を樹海の樹木、草木、苔などの中へ単に溶け込むのではなく主張を持って調和の努力を行おうとしている場面を作り出している。生命の強さを示す樹下に対する思いが結実した作品として高く評価される。 |
名古屋工業大学教授/
堀越 哲美
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○優秀賞 設計デザイン部門

冬の家と夏の家 〜家の中の遊牧生活〜/中澤 綾さん
(山梨県立甲府工業高等学校 2年) |
講評: |
この案の特徴は技術的なことや形態から考えるのではなく、そこで生活する「住まい方」にテーマを見つけた点にあると思います。一年の寒暖の差や昼夜の温度差が大きいこと、夏は高温多湿となり、冬は北西の風を受けて空気が乾燥しやすく、八ヶ岳おろしという冷たい風が吹くという気候条件を、建築のハードだけで対応するのではなく「遊牧生活」という、住まい手が家を住みこなす視点を持つことが高く評価されました。最新技術満載の重装備な住宅ではなく、シンプルで融通無碍な空間であれば、季節や一日の変化の中で、過ごす空間を自由に選択できるという動物(動くことにより環境の変化に対応する生物)としての人間本来のあり方を生かす提案は、技術に頼りすぎる現代人に対する警鐘になると思います。また、この案は、部屋の一つとして中庭を取り入れた平面計画、日照通風、空間の気積等を配慮した断面計画、藁を利用した断熱材等がバランスよく考えられています。ただ、もう少し周辺環境との関係を表現し、取り入れてほしかったと思います。 |
建築家/芝浦工業大学教授
堀越 英嗣
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風線・稜線・視線 −3線で同化ハウス−/田中 侑さん
(大阪市立工芸高等学校 2年) |
講評: |
風も光も、自然から建築が享受する大切な要素である。換言すれば、建築は自然と人の間に介在して、ある達成された内部環境をかたちづくる。この提案は、風光明媚あ自然環境の中にそのふたつの要素の流れを積極的に取り込み、それらを繋ぐように建物の稜線を同化させつつ計画することで、自然に馴染ませている。一見、厳つい感覚を残しつつも、内部空間と外部空間を繋ぐ環境的な仕掛けを多用しており、思い切りのよい作者には、最大限の活躍を期待したい。 |
建築家/芝浦工業大学教授
堀越 英嗣
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