Last revised on 11 Jan. 2005

空間における期待感に関する研究

折れ曲がり街路空間における期待感

 

研究の目的
 本研究では期待感を与える典型的な街路空間構成である折れ曲がり空間を対象として、その空間形状を示す物的変量と期待感最大位置及び強さの関係を明確化することを目的としている。

 

研究の流れ
 モデル実験―予測―検証―予測2−結論
 

1<モデル実験@>
街路幅員、角度、及び壁面高さを物理量に設定したモデルパターン(図1 計84パターン)の1/50縮尺模型を用いて、模型空間知覚シミュレータにより撮影し、そのVTR映像を被験者15名にランダム提示した。期待感最大位置は調整法を用いて秒数を測定し、期待感強さはME法(マグニチュード推定法)により評価実験を行った。

 
2<予測@>
検証結果を踏まえて、もう1度予測を行った結果、期待感最大位置は最大位置における不可視領域を隠している側面の長さがほぼ一定であることがわかった。これは被験者が見えない領域を壁の長さで判断し、これが一定になる位置で、最大位置を特定していることが分かった。よってこれを用いて最大位置の予測が可能となった。また、期待感強さは予測@の時の物理量に前方可視壁面長さを加えて再度重回帰分析を行ったところ、さらに精度の高い予測式が得られた。

 

 
3<検証>
モデル実験@では折れ曲がり街路空間の空間形状の違いを考慮していないため、これを考慮に入れたモデル実験Aを再度行った。また、時間距離の意識による予測を確かめるために移動速度と期待感最大位置の関係をモデル実験により探った。 その結果、移動速度による期待感最大位置の変化はみられなかった。よって、最大位置の特定要因が時間距離の意識ではないことがわかった。

 
4<予測A>
検証結果を踏まえて、もう1度予測を行った結果、期待感最大位置は最大位置における不可視領域を隠している側面の長さがほぼ一定であることがわかった。これは被験者が見えない領域を壁の長さで判断し、これが一定になる位置で、最大位置を特定していることが分かった。よってこれを用いて最大位置の予測が可能となった。また、期待感強さは予測@の時の物理量に前方可視壁面長さを加えて再度重回帰分析を行ったところ、さらに精度の高い予測式が得られた。

 
5<結論>
以上により、期待感最大位置及びその強さの特定要因が明らかになった。期待感最大位置は空間形状により特定要因が異なる。壁面の先にある空間が見える形状では、それが見える直前で最大位置を特定し、壁面の先にある空間が見えない形状では、見えない部分を壁面で置き換え、それが一定になる位置を最大位置に特定している。その時の期待感強さは、幅員、壁面高さで構成されるスケール補正壁面高さ幅員比、不可視領域率に加え、空間形状の違いを考慮した変数である前方可視壁面長さによって決まる。
 

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