Last revised on 12 Jan. 2005

超高層建築に関する研究
 
霞ヶ関ビルが建設されてから日本の各地で超高層建築物が建設されるようになりました。
さらに今日ではレジャー施設や居住施設を含めた1000メートルを超える超々高層の建築さえ考えられるようになっています。しかし現在までのとろ、超高層建築は商業施設や事務所等のごく限られた範囲でしか利用されていません。本研究では、超高層や超々高層の建築空間をレジャー施設や居住空間として利用するために、武蔵工業大学と協力してアンケート調査を行い、現在ある超高層建築の執務者による超高層建築の居住空間評を調べて、その結果を今後の超高層や超々高層の空間計画には反映する事を目的とするものです。
 
はじめに
今日土地の高度利用や情報化社会への対応を測り、超高層オフィスビルの建設が増加している。この動向を受けて、超々高層建築物が居住空間としての視点より検討され始めている。 この一連の研究では、超々高層建築の基礎的資料を得ることを目的とし、超高層オフィスビルにおいてアンケート調査を行い、居住空間評価を総合的に把握し、それらの評価が高層化によってどのような影響を受けるのか明確化する。

研究の流れび概念図
 
アンケート調査
・調査対象ビル
  超高層オフィスビルの空間評価を様々な角度から知るために、自社及び、テナントの2つの利用形態のビルにおいて調査を行う。軒高が高く、コア形式、立地条件、竣工年がほぼ同じになることを条件とし、東京新宿区の自社ビルAと、テナントビルBを選定した。
・調査内容
(1) 回答者属性では24項目。個人属性3項目、仕事関連属性12項目、居住空間関連属性3項目、個人傾向5項目。
(2) 執務フロアでは15項目。執務室全般5項目、室内の物理環境1項目、保健衛生3項目、室内の人工環境化6項目。
(3) 移動行動意識では27項目。移動行動4項目、行動制約12項目、所属領域意識1項目、地面からの隔絶感2項目、階層分離意識3項目、建物内施設要求・現状1項目、機能的利便性4項目
(4) 周辺環境では2項目 建物の立地について2項目。
(5) 眺望では4項目。眺望要求3項目、眺望評価1項目。
(6) 建物全体では15項目。建物への印象6項目、災害意識7項目。
・調査方法
  調査方法は配票によるアンケート調査。自社ビルAでは1993年9月18〜27日の10日間実施した。配布総数345部で299名から回答を得た。回収率は87%である。テナントビルBでは1993年10月5日〜26日の22日間実施した。配布総数3000部で1062名から回答を得た。回収率は35.5%
 
まとめ
(1) 「気分転換のしやすさ」への評価が特に悪い。
(2) 会議等、仕事上の行為のための施設は「執務室内に必要」で、休憩等、仕事のともなう行為のための施設は「執務室と同じ階に必要」である。
(3) 室内空間評価では「清浄感」「空間への満足感」「時刻天候感」「高所不安感」が得られ、「時刻天候感」「高所不安感」は高さが高いほど感じる。
(4) 移動意識では「移動抵抗感」「階段使用感」「EV利便感」が得られ、EV乗り換え階から離れている階ほど移動に抵抗を感じ、EV利便性への評価が悪い。
(5) 建物全体評価では「災害不安感」「愛着感」「無機質感」「利便感」が得られ、「災害不安感」は高さが高いほど感じる。
(6) 高さが高いほど眺望評価がよい。
(7) 自社ビルでは、上下差意識はほとんど感じられない。所属集団が互いに異なる場合は、高さが高いほど上下差意識を感じる。

仮説と検証結果

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